富士五湖の古民家の博物館
【日時】令和5年5月17日(水)
富士河口湖町西湖字根場
西湖いやしの里根場(ねんば)は、山梨県南都留郡富士河口湖町にある古民家の野外博物館である。かつて当地にあり、台風災害で移転した集落の跡地に茅葺民家を復元したもので、2006年(平成18年)に開園した。
ここに移築再生された古民家のほとんどは店舗と展示場として使われており、建物の歴史文化伝統を伝承するという目的よりも、全体的に身近な観光地として観光客誘致をしているイメージである。その中にあって(地図の左上NO.22)の「旧渡辺家・住宅主屋」だけは登録有形文化財として保存されている。渡辺家住宅は歴史江戸時代末期に建てられた養蚕家屋で、1966年の土砂災害を経て今に残る数少ない貴重な建物である。
江戸/1930~1868/1898~1912木造平屋建、茅葺屋根、建築面積108㎡、2008年保存のための修復が行われ、2011年に国の登録有形文化財に指定された。屋根は、根場地区の茅葺民家の特徴の一つである兜造り。その上部は木枠格子の破風のある入母屋風となり、屋根飾りも見られる。
屋内は、東端前方を土間、後方を板間、中央を板間の広間、西端を座敷とする間取りとなっており、囲炉裏やかまども残っている。また、風通しの良い2階には、養蚕が行われていた形跡が見られる。
かつての根場集落は、災害で流される以前は文化水準の高い村として新聞社の表彰を受けた記録がある。屋内には、真空管式のカラーテレビやガス炊飯器、初期の洗濯機などが展示され、昭和の往時の暮らしぶりを感じる展示となっている。
西湖いやしの里 根場
山梨県南都留郡富士河口湖町西湖根場2710
取材:株式会社アップル 大竹喜世彦
JMRA日本民家再生協会正会員
HICPM住宅生産性研究会正会員