両国のリフォームフェアvsリモデリングショー。わたしは、戸建てマンション分譲(不動産)、注文住宅(建築)、リフォームを行う会社に勤務し、今は「リフォーム(交換修繕)・リモデリング(改修)」一本で専業でやってきたため、似たり寄ったりに見える展示会の違いはよく分ると思う。以前の日本のリフォームフェアは、ビルダーズショーも建築建材展も区別がつかないほど同じ業者が玉石混合な内容で出展していたが、今年のリフォームフェアはかなり努力されリフォーム向きな展示会だったと思う。会場の傍らで行われるワークショップとセミナーも以前のような元暴走族の頭やアデランスのトップセールスによるリフォーム業界に殴り込み「カリスマ経営者、初年度で5億!」のようなセミナーも減っていた。(一部、高学歴職人集団で年商○○みたいなセミナーもあり、変わんねえなというセミナーに人だかりができていた。)今回の目玉のセミナーはやはり、米国ブースの「リモデリング誌編集長」によるセミナー。年商300万ドル以上のリモデル業者は全米でいないそうだ。日本のコンサル系のセミナーはまだ「金もうけの手段」や不景気対策として「これからはリフォームの時代だ!ストック社会に必要なのは、中古流通の仕組みがポイント!」のみたいな歪な論調が多い。あるいは「5年で10億ビジネス!」を狙いたい目がギラギラ光った人々がどうしても集まりやすい業界。米国におけるセミナーでは、ビルダー(新築工務店)同様、地域に密着したスモールビジネスがリモデリングでは大切で、口コミと評判が最も重要視されていることが分る。今回のリフォームフェアではワークショップも充実しており「リフォーム産業」育成のための展示会に変容しているイメージを受けた。主催はリフォーム産業新聞社であり、あくまでリフォームにターゲットが絞られ、不動産流通系の出展は「ハウスドウ」のみで、あくまでリフォームに絞られていた印象。(このブース前では社員が「不動産やりましょう」の呼びかけを盛んにしていた)一方の業界紙「新建ハウジング誌(新建新聞社)」は、不動産+中古リノベに舵を切り、従来の新築中心であった工務店を現在洗脳中であるが、両者の違いも感じた。「リフォーム産業新聞」(旧・THEリフォーム紙)をセミナーの合間に読みしてみたが、内容は以前よりのような怪しげなカリスマ・リフォーム経営者を祭り上げた記事は減っていたようだ。元エイムで現在リニュアル仲介の西田氏の記事は、「資産価値保全」に必要なものは、拘りの強いリノベは逆効果。1500万円の中古を高額リフォーム1500万円(トータル3000万)よりも2700万円の物件を300万円で「ほどほどな標準リフォーム」のほうが有利となる。拘りリフォームを行っても売却時にはほとんど評価されないとの予測を立てている。拘りが悪いことはないが「家は一生に一度の買い物」ではなく欧米のように買い替えが多くなる時代では、「資産価値維持策」が何よりもリフォーム提案では重要であるとの論調。このあたりも今後要チェックに違いない。
日米比較↓
【日本のリフォームフェア】におけるワークショップ(お台場2015昨日) 無料展示会
この商材を使い格好よく安くリフォーム あくまで物販+施工で儲ける考え
日本の場合、建設業は「建設サービス業」と定義され、流通業のような商業粗利が目的であり
上代、下代で儲けることが基本とされている産業構造がそうさせる
日本のもう一つのセミナーの特徴である「営業系コンサル」によるセミナー
人だかりができているが、いかに儲けるのか?に人気があり集客も多いが、この手のセミナー
をもし、米国でやるならクローズでやる方がいいだろう。詐欺行為とみなされる可能性があるためだ
日本的な商習慣では、あまり問題されずわれわれの社会では慣れていることだが、儲けの手段が
欧米では詐欺行為とみなされ裁判となる可能性がある
この手の現場における作業効率を上げる車載装置は日本には少なかったもので大いに
いかされるべき生産性向上手法(充填断熱工法)↓
日本の展示ブースは、楽しく興味深いものヒントがたくさんある
【米国のリモデリングショー】における「ワークショップ」(ボルチモア2014年10月) 有料展示会
米国の場合、如何に効率よく作業時間当たりの賃金を上げ儲けるか?に興味が集中している
米国の建設業は「建設加工業」として他の加工業種と同じ、作業生産性をあげることで儲ける
仕組みをつくることが基本とされている
この解体ツールはものすごく速く効率よく作業が進むことに驚いた
こちらは木デックを組むツールのブース 見えにくいが根太と仕上げ材の間に挟む
金物が優れた作業性を実現する
作業車は、格好いいこと(憧れの職業として)、車の中はIT搭載のオフィス兼作業ツール箱
日本の日産も昨年から参入していた↓
腐食や蟻害を受けた木材再生ツール
住宅の外壁材のカラー見本
米国の展示会は、一見すると商材が当たり前な感じでつまらない印象だ。
しかし、コンストラクションマネージメント(CM)による現場作業の効率化で儲ける仕組みは多くを学べる
解体作業という「形」に残らないものに銭を払いたくない消費者に対する取り組みともいえる
作業ツールの多さに度肝を抜かされる。かれらの関心と日本人の関心には大きな隔たりを感じる