米国中東部の建築視察4日目(58)ﾍﾟﾝｼﾙﾊﾞﾆｱ州･ﾌｨﾗﾃﾞﾙﾌｨｱ

米国でもﾖｰﾛｯﾊﾟでも都市や観光地には賑わいがあって居心地がいい。よく見ていると日本を含めたｱｼﾞｱの「物売り」や商売人が幅を利かせた「土産屋」が極端に少ないことも挙げられる。西海岸の美しい海岸線や地中海沿岸の歴史街に「海の家」や「出店」があったらどうだろうか？都市や観光の価値はどこにあるのか？歴史や文化があるから「そんな見世物屋台は要らないよ」と美しい景観や街並みはわたしたちに教えてくれている。日本では､戦後のどさくさから朝鮮戦争､ベトナム戦争特需による高度成長期が終わり街並み景観についての検証や反省は多々語られて来た。日本特有の優れた歴史文化と美しい街並みがあれば「物売り」のようにガチャガチャしたものが不協和音となり､醜い景観や日常生活を隠すための着せ替えに代替させる必要性がないことに気づかされて来たはずだ。日本を訪れた世界中の人々がB級グルメ､ご当地グルメ､芸能人プロヂュースの漬物屋を望んできているのだろうか？訪日旅行者の「行ってみたい日本の観光地」を上位を見れば京都､鎌倉でさえ商売人のぎらぎら感に侵されているがその目的は日本の歴史文化に触れてみたいということがよくわかる。日本製品を買いあさる中国人でさえものに満たされた次は日本の歴史文化の附箋に触れてみたいと感じている。わたしたち日本人は「おもてなし」なんてノー天気なことをいいながら実は商売で金を奪う「仮面の正体」が分る前に､もっと基本的な街そのものによる「おもてなし」でお迎えしたいものだ。街並み景観については国を挙げて取り組むべきだで､ずっと言われ続けてきたカラフルな看板､派手な屋根の色､目立ちたがりなネオン､照明は最低限規制してもらいたいものだ。




ｸﾞﾘｰｸﾘﾊﾞｲﾊﾞﾙ様式

ｶｰﾍﾟﾝﾀｰﾎｰﾙ　建国のこの地での大工組合が絶大な尊厳を集めていた様子がよく分る



米国では現在でも職業人気ランキングで「ﾋﾞﾙﾀﾞｰ」は弁護士よりも上位。
地域ではｱﾒﾘｶﾝﾄﾞﾘｰﾑを実現し資産価値を向上させる職業として尊敬される存在であると
よく聞く話だ。それに対して､日本では詐欺幇助や売り抜け業者などと呼ばれ､はたして尊敬
される存在であると思えるだろうか？極めつけは､約10年前の「姉葉一級建築士」問題の際に
「士業の中で最も地位が低く､貧しいに人の集まりが一級建築士」と報道されたことだ。
医師､弁護士､公認会計士､税理士､消防士と次々に「士業」が挙げられ､目立たないｺﾒﾝﾄでは
あったが「最も地位の低い廉価な職業」忘れられないｺﾒﾝﾄである。