旧岩崎邸の外観(エレベーション)は英国人建築家ジョサイアコンドルによるルネッサンス建築でビクトリアン、ジョージアン、ジャコビアン様式をもつ折衷意匠だある。内装(インテリア)においても全面的に英国人コンドルの手によるインテリア・デザインが採用されているが、やはりビクトリアン調やイスラム調、サラセン調などの折衷様式である。1・2階共に居室の壁は漉いた和紙に型押し(エンボス加工)された壁紙が見事である。最初の画像は1階の壁紙であるがこの植物をモチーフにしたサラセン調の壁紙とアンティークな鋳物の照明スイッチ。壁紙で、特筆なのは2階のメインルームに施された「金唐革紙」であろう。欧米の皮革工芸品に「金唐革(きんからかわ)」があるが、貴族や王宮どの室内装飾の中でも高級壁装材であった。鎖国が続いた日本では、技術移転と入手が困難な高額品であり、和紙を素材とした代替品として、1684年に三重県伊勢でこの「金唐革紙」の始まりであリ、その後日本の特産品としてパリ万博で好評を得た後、英国のバッキンガム宮殿でも採用された。英国発の「金唐革」が日本で「金唐革紙」となり英国に里帰りしたことはモノづくり日本の快挙と言えるだろう。