建築リフォーム

米国中東部の建築・不動産視察(78) ニュージャージー州・フェアローン【ラドバーン開発】

1週間ほど中断していた「米国中東部の建築・不動産視察」ニュージャージー州・フェアローンの【ラドバーン開発】 の続きレポートです。(前回レポート #77
繰り返しとなるが、「ラドバーン開発」は 1928 年、まさに 大恐慌真っ只中にニューヨークの郊外 20キロのニュージャージー州・フェア ローンに「エルドラド(理想都市)計画地」として開発された。この住宅地が世に広く知られた理由として、当時としては画期的だった「歩車分離」が挙げられる。公共交通(鉄道駅)から徒歩圏内で、歩車道を完全に分離した「スー パーブロック」方式、歩行者が安全な袋小路「クルドサック」による通過交通の排除などが採用された。前面道路とは違う歩行者用通路「バックアレイ」が、各住区に接し住宅地の中心に位置する学校まで通じている。この「ラドバーン」は近年、横浜市の緑園都市(泉区)と姉妹都市となった。そして、資産価値を失わな いTND( 伝統的近隣住区 ) 開発として、また持続可能な社会 ( サスティナブル・ コミュニティ ) を倣おうと、今なお、日本から多くの行政担当者の視察が絶えない米国の戦前(1920年代)の住宅地である。しかし、これらに最も重要な役割を果たしているのは、 ラドバーン協会の影の HOA( ホーム オーナーズ・アソシエイション )、 CC&R’s( ソフトとなる厳しい街並み 保全ルール ) の存在であろう。次回は、資産価値を失わないこれら影のソフトについてお伝えする。日本からの開発担当行政官や住宅地開発デベロッパーたちが何度見学に訪れ、単に住宅の機能、性能を真似てもみても日本国内では決して実現できず、叶えられない住宅地の「資産価値向上」。戦前しかも1920年代の米国の住宅地が今なお資産価値が向上し続け、その一方で日本では住宅を所有することで間違いなく資産価値を失うその社会の仕組みの違いを知ることとなるだろう。米国のみならず欧米にできて、先進国となった日本だけがなぜできないのか?私たち日本人には能力がないのだろうか?世界中で日本の車や家電が大躍進したのに、なぜ日本の住宅だけがただの1軒も建っていないのだろうか?素朴な疑問が少しずつ理解できるのではと私は思う。
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1920年代の古い開発地にはすでにクルドサック(袋小路)が採用され車が通り抜けられず安全な街作りが成されていた。
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各戸建ての間の小道は近隣の学校やコモン(公園)まで続く。安全に徒歩で行くことが可能。
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このバックアレイを使い学校や公園に出かけられる
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街路樹やコモン、公園の整備、維持管理はすべてHOA住宅地経営法人が行う
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HOA(ホームオーナーズアソシエイション)は日本には極めて少ない「住宅地を管理経営する法人」である
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