1907年に建てられたNYC(ニューヨークシティ)の名門「プラザホテル」は存続を求めた市民との対立の結果、従来通りのホテルとしての継続使用と住居としてのコンドミニアムの併用で決着しました。すでに解体され、新丸ビルとして建設された東京駅前の旧丸ビルと同じ設計者であったことは前号でお伝えしました。そして注目すべき日本と米国との違いは、利益一辺倒の米国の不動産業者でさえ「老朽化による解体建替え」論議が最初から起きていなかったことが挙げられます。日本の建築基準法は鉄筋コンクリート造は60年持てばいいという耐用年数理論により=賞味期限という世界に例のない独特の規定があります。スクラップ&ビルドによる建て替え理論に寄り添うように何と税法上も46年で償却されることになっています。これは木造住宅で20年というまさに短命さが顕著な扱いを米国で話すと非常に驚かれることもお伝えしておきましょう。アンビリーバブル=理解できないと必ず言われる方便として「日本は地震国だから…」というと「では、同じようなサンフェルナンドバレーなど火山性地震地帯が南北に走るカリフォルニアなどの西海岸も同じ地震が起きるが簡単に建物を壊さないが……」と聞き返されたこともありました。日本の高度成長期から続くフフロー経済(金儲けの経済)は日本のスクラップ&ビルド政策とセットで取り組まれてきたものです。そこでストック(資産の蓄積)の欧米社会に対して日本では住宅を取得することで間違いなくでストックを失います。国は口では耳障りの良い「欧米型のストック社会の実現」といいますが、現を見ても何もやっていないことがよくわかります。そして究極の犠牲者は私たち国民ということにあります。