【犯罪の無い街こそが、資産価値を失わない再開発】
前回記したように地区の清掃と警備等でBID(ビジネス改善地区)の年間予算の約50%を費やしますが、これはニューヨーク市内のほとんどのBIDで共通していることで、クリーン&安全確保がいかに街づくりで重要かを物語っています。また、米国では地価や不動産価値の上昇下降が日本と比べて著しく違います。治安が悪化している地域の住宅価格は市場原理でどんどん下がっていき、逆に魅力的な地域の住宅価格はどんどん上昇します。日本では、例えば地方都市において中心市街地の空洞化が進んだとはいえ、駅前の地価が10年前の1/4になることはまずないでしょう。しかし、米国では周辺環境が悪化すると一気に資産価値が下がります。資産価値が下がれば低所得者層の流入が起こり、治安の悪化、さらなる資産価値の低下という悪循環が続きます。これは日本の住宅地の価格下落が起きている地区でも当てはまります。いかに、地域の不動産価格の下落が起きない魅力ある街づくりが重要であるかは世界共通といえます。