建築リフォーム

米国中東部の建築・不動産視察(115) ニューヨーク州・マンハッタン【不動産視察】(3)スカールズデールのシングルファミリーハウス (2)

築90年弱の戸建て住宅のキッチン。日本で90年=古民家や旧町家?となる理由は、税制や会計上の耐用年数理論を「住宅」に対し「木造23年、ブロック造35年、鉄筋コンクリート造60年など…」と住宅メーカーや工務店らの住宅産業全体が自分たちに都合よく国民に説明し、国もそれを黙殺して国民を騙してきたからです。仮に「耐用年数=賞味期限」という理論を欧米で持ち込んだらどうでしょうか?このニューヨーク郊外のスカールズデールの住宅は90年ですから「お宅のは家は古いですよ。すぐに解体しないと危険です。耐用年数を4倍近く経過していますよ」ともし日本人の不動産屋が説明したら間違いなく裁判に持ち込まれるでしょう。日本の住宅業界では、機能性能が劣っているから駄目だ、デザインは人の目を引くトレンドが一番だと誰もが疑いなく説明しますが、欧米では通用しません。それならば英国の500年前の木造住宅は何故残されているのか?欧米の人々は回顧主義なんだろうか?最新の技術と高い精度がないと解体したほうがいいんでしょうか?答えは真逆で、欧米は基本的にストック社会であり住宅は、資産として蓄積していくものだという政策がとられ、国民も住宅は古いほど価値があると考えています。住宅はリモデリングし維持管理し続けることで資産価値が基本的に目減りせず耐用年数理論は適用されないと考えています。一方の日本では、戦後の日本の政策そのものが「スクラップ&ビルド政策」であり、経済的には「フロー経済最優先」の経済政策をとり続け、国民も「古モノは壊して処分し、新しいモノが一番」と考えるようになってしまった…。一番わかりやすいのは、日本では住宅を取得すると「消費税」が課されます。消費税は株や投資にはかけられませんから、住宅=消費財と誰が見てもわかります。これを欧米で説明すると絶対に「なぜ消費税がかかる?」と驚いたように返ってきます。欧米のようにストック(資産蓄積)の国でも「不動産取得税(2-3%)」が課される国や州もありますが「消費税8%」が課されています。おまけに日本では不動産取得税も課されるので「税の二重捕り」が行われ税制の基本から見ても違法性があります。そんな状況でいくら「日本もストック社会」を目指して…と国で言ってもそれは、空念仏や耳障りの良い方便といえるものです。つまり国の法律、税制度が全く変わっていないのだから、いつまで経っても「フロー経済」のなかで「住宅はいつまで経っても資産扱いさせない消費財、消耗品」として今まで通り扱われていると思います。皆さんもこのことを念頭に「ストック社会を目指していない」ことを知り騙されないようにしてください。
このスカールズデールの築90年が経過しようとする戸建て住宅は、リモデリングが繰り返され内部も外部も文句なしの状態であり日本でいう「耐用年数理論」が空念仏であることがよくわかります。このオーナーも、固定資産税などの税負担が重く、不動産仲介で販売中ですが、リモデリングで最新の設備になっている以外に「ステージング」という販売促進方法で家具調度品が整えられており、住んでいた人の生活感が取り払われていました。
P1090976.JPG
P1090978.JPG
P1090980.JPG
P1090979.JPG
P1090984.JPG

タイトルとURLをコピーしました