建築リフォーム

米国中東部の建築・不動産視察(82) ニュージャージー州・フェアローン【ラドバーン開発】TND開発

【ラドバーンの住宅地経営】ラドバーン開発で実践された三種の神器(ハードなルール、ソフトなルール、HOA)は、その後の米国の住宅地経営の基本モデルとなった。英国におけるエベネッアー・ハワードの田園都市構想との違いは、このラドバーン開発では個人の土地所有(フリーホールド)が認められ、それにHOA(住宅地経営管理協会)が組織され、土地利用は規制された。つまり勝手気ままな住宅地利用、増改築、決められたデザインコードの変更、外壁・屋根色の規制、外構などが域内ルールで厳しく監視されルール違反者にはイエローカード(罰金)、そしてレッドカード(撤去命令)がHOAによって強制権を持って行使される。分かりやすく言うと、今日住区のルールに従わない入居者は居られなくなる。日本のように「ごみ屋敷」や「迷惑おばさん」、「水かけおじさん」は住み続けられない仕組みがあるということ。自由と権利の裏には必ず、その我慢と義務が伴う社会が欧米である。日本のような住めば都を超えて敷地内でやりたい放題、景観を守らず、かって気ままな国との違いは、入居後の資産価値向上に大きく影響る。美しいという審美性は決してかねの金では買えないし価格で表示できない。しかし、そこで住みたい願う人々が絶えず存在し、誰もが住みたいとあこがれる住宅地の資産価値は下がらない。ラドバー ンで行われた TND(近隣住区開発)は、歩車道分離による事故からの危険回避、徒歩圏内にある交通機関や学校まで子供たちを安全に見守られる各戸からつながる碁盤の目のようなバックストリートの存在、近隣の人々が出会う場所(コモン・公園)など犯罪の起きにくい住宅地づくり=TND伝統的近隣住区が、後の郊外における資産価値の向上する開発手法「ニューアーバニズム開発」の試金石となった。
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ラドバーン方式と呼ばれるクルドサック
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