次週、使用する資材が午後一で到着しました。壁面に使う漆喰左官材とスライス煉瓦です。煉瓦の構造なら外壁も内壁側も煉瓦そのものが見えているのが本物ですが、室内リモデリングのためスライス煉瓦張りという事になります。外壁の面した側にはベットを置くので、そちらは板張りがイイ。これがお施主さんのご意見なので、あくまで建築ディテールとして反対側の壁面を一面だけスライス煉瓦張りといたします。当初、煉瓦色のものを張る予定でしたが「色目が強すぎる」ということで、ホワイトのスライス煉瓦を選択しました。補足しておくと、欧米の煉瓦造の劣化や割れといった建物改修に漆喰がよく使われ、その意匠として白煉瓦があるという事です。赤土(鉄分)の土壌が多い地域なら赤い煉瓦が、これを焼成したり、未焼成のまま日干し煉瓦として使う地域も世界中にあります。オランダの堆積物(土)から作られる煉瓦や7つの海を支配した大英帝国から世界中に煉瓦は広まっていきました。ヨーロッパのケラミック、米国南部のアドベ、アジアなど世界中で煉瓦は作られてきました。しかし、真っ白な煉瓦造は見たことがありません。白と言えば石灰岩質でしょうが、構造としては軟弱すぎる。英国のヨークシャー州で見た石灰岩質を含んだ煉瓦造は、黄土がかった焼成煉瓦でしたが、100年以上経過して黒ずんで見えました。これは教会建築で用いられる柔らかく加工しやすい砂岩のように鉄分の成分による黒ずみではなく、暖房に使われた石炭や木炭の煙による汚れです。英米にはコモンロー(慣習法)というのがあって、「経年した煉瓦は美しい」「石造は洗うべきだが、煉瓦は洗ってはならない」このような紳士協定の様なルールがあり、そこに審美性を見出しています。ですので、赤い煉瓦は黒ずんで美しいという解釈です。しかし、ドイツ、オーストリー、スイスなどライン川沿いというよりもアルプスから豊富に石灰岩が産出される国々では、煉瓦造の改修に、真っ白な「漆喰=スタッコ」が用いられています。旧ソ連の息のかかった東ヨーロッパ、例えばチェコの世界遺産地区では、同じ煉瓦造に白ペンキが多用されていることにがっかりしたこともありますが、剥がれて醜い状態でした。やはり、世界中で2000年以上の長きに渡り使い続けられてきた漆喰=スタッコには歴史的な理由があります。そんなわけで話が超長くなりましたが、漆喰で改修した煉瓦のような意匠で壁面を作るということになりました。目地は白セメント。腰壁用の板材は杉ザラ板(180ミリ)を本実加工しリボス・アメロス塗料で調色
窓廻りのカーテン生地も
(参考)ドイツ・カールスルーエ 漆喰で補修↓
(参考)英国・ソルティエ 石灰岩質を含む煉瓦蔵の街