このように資産価値を失わないカナダのTND開発(伝統的近隣住区)ですが、米国のそれとの違いは、HOA(ホームオーナーズ・アソシエイション)がないことが説明されました。景観(ビュー)を構成する街路樹や公園(コモン)の管理は基本的に市町村で行われ、入居者に対して強制権を持つHOAやCC&R’sのような厳格なルールによる規則は、このオークパークに限らず、他の開発地でもカナダにはないという説明に半信半疑でした。米国の場合も、100%HOA加入であるかといえばコミュニティの任意であって、以前の調査では約4割程度の普及でした。これは開発当初から住宅地管理法人HOAやルールCC&R'sが決められた状態でサインをし入居する必要があるため、米国発とはいえコミュニティが無政府状態の地域から、突然、HOAの導入に切り替えるのはなかなか難しいと考えたほうがよいでしょう。この辺りは調査研究のよりが多分にあります。ですが、このHOAの「あるなし」は不動産評価の調査リスト(アプレイザル)にしっかりと明記されていて確実に資産価値向上につながるソフトな部分として重要視されています。米国に限らず、カナダにおいても英領の影響による社会システムの類似やカナダが産油国であり米国よりも充実した福祉社会を実現していることから、コミュニティの環境の維持管理を全て州市町村が行っている(現地在住の元商社マン日本人ガイドの説明を鵜呑みにはできない)とは考えにくいと思います。1週間の滞在では正確な情報は得られなかったため今後の研究課題といたしました。