前回の続き(4月11日のレポート)NJ州・フェアローン・ラドバーンの1920-30年代初期の開発の住宅地。米国の現在の住宅の9割以上が2X4工法であるが、これは第二次世界大戦中のヨーロッパ戦線で戦車を通すために使われた構造用合板が大量に余ったから戦後の住宅地不足において建材として使おう!という理由が大いにある。道路として重量級の鉄板ではなく接着剤で張り合わせた木質の合板を敷き、戦車のcaterpillarで通過させ雨にあたってもこの合板は非常に丈夫であり再活用されたのである。つまり、米国の戦後の建材は余った構造用合板と2X4インチのフレームを掛け合わせ爆発的に普及したということだ。では、それ以前の住宅の構造は…米国は英国からの移民と植民地化の歴史がある。アングロサクソンの比率が高く当時英国で普及していたプロトタイプであるハーフティンバー工法で住宅を作ることが多かったのだ。ハーフティンバー工法は、もともとアングロサクソンの船大工の造船技術を住宅に応用したもの。アングロサクソンが北ドイツからデンマークに渡りその後ブリテン島へ入植し大英帝国で爆発的に普及した木造工法である。英国では石造や煉瓦造が主流と思われるがロンドン大火(1600年)以前は、森林もまだまだ残っていて木造住宅が多かった。柱と筋交いのある日本の在来工法とも共通点がある軸組み工法といえ、現在も「blackア&white」と呼ばれる伝統的な工法をもつ住宅である。このラドバーン開発の古い住宅街区では、下の画像のように湿潤なこの地においては煉瓦造の上にハーフティンバー工法の木造を乗せた混構造である。
煉瓦造に漆喰を塗り改修した住宅