ボールドウィンパークの高級住宅地から少しはなれたところに、全体で8戸の住宅がまとまった環境を造った住宅展示場がかつて造られました。欧米の戸建て住宅販売でこのような展示場住宅は非常に珍しく、最終的に今回見学したとおり分譲されたコミュニティとして優れた環境を形成することにも成功しています。ボールドウィンパークのビルダーはここでのモデルホームを広告宣伝のツールとして住宅販売を行いましたが、それは住宅単体ではなく、あくまで住宅環境(ロケーション)を販売するという考え方に変わりはありません。住宅は土地を加工して住環境を開発する欧米での住宅地開発の共通した人文科学的な考え方が共通しており、このかつてのモデルホームは、現在も高級な住宅地としてより成熟しています。今回は見学しませんでしたが、クレセント型の池を囲んだ高級住宅地の裏側にも、高級住宅地に建つ住宅ほどの価格ではないけれども、しかしそれと遜色のない優れた住宅地が形成されています。ボールドウィンパークの計画はハードとソフトの開発技術に、そこに生活することになる人々の生活の成長を計画に織り込んだものとなっています。このように経年的に熟成する住宅地経営の考え方は、英国の住宅地経営の父と呼ばれ「ガーデンシティ」を提唱したハワードの住宅地経営の考え方を伝承したものです。